5Gに求められること

 5G(第5世代移動体通信システム)に関する話題が急速に増えています。社会を変えると言われている5G、何がどのように変化していくのか、何度かに分けてコラムを書いてみたいと思います。

 1回目は5Gにはどのようなことが求められていて、それを実現するためには何が鍵となるのかについてです。まず5Gに求められていることですが3つに集約されています。超高速通信、超多数端末接続、超低遅延です。

超高速通信

 4K・8K動画のような高精細・大容量コンテンツなどによる通信トラフィックの急増の解決手段としての位置づけですね。世界中で通信されるデータ量は2010年との比較で1000倍になり、求められる通信速度は10Gbps以上(4Gのおよそ10倍)と言われています。4K・8Kの高解像での動画を高ビットレートでスマホでストレスなく楽しめるようになるということですね。

 超高速通信の実現のためには、より広い周波数幅の確保が必要になります。そこでまだ利用の進んでいない新しい周波数帯の利用が進められています。その新しい周波数帯も大きく2つに分類されます。1つはsub6と呼ばれる6GHz未満の周波数帯、もう一つはミリ波帯と呼ばれる30GHzを超える周波数帯になります。これら2つの帯域の運用の仕方や技術的な課題についてはまた別途あらためてまとめてみたいと思いますが、5Gの超高速通信による社会のパラダイムシフトの鍵はミリ波の利用ですね。

超多数端末接続

 しかしながら、超高速通信というのは、4G・LTEの延長線上のものに過ぎません。社会を変えると言われる所以は、2つ目の超多数端末接続の実現にあります。あらゆるモノとモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の世界の実現に必須の条件です。そのためには1つの基地局当たりの同時接続数をいかに増やすかということがポイントになります。同時接続数は 4Gの100倍程度が目標とされています。またNB-IoT、ネットワークスライシングなども鍵となってきます。

超低遅延

 IoTにより実現が期待されていることとしては、自動運転制御のための車車間通信、路車間通信(V2X)、遠隔手術における触覚通信などが挙げられます。これらの実現に超低遅延の通信が求められています。路上での瞬時を争う制御や、手術における精密な作業には、高度のリアルタイム性が求められます。そのため5Gでは0.5.ms以下(4Gの10分の1)の遅延の実現が要求されています。低遅延の実現にはエッジ端末側での処理(エッジコンピューティング)が鍵になります。

 今回は以上です。次回はsub6とミリ波の2つの周波数帯をテーマにコラムを書いてみたいと思います。

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