注目されるO-RAN ~オープン・インテリジェント・ヴァーチャル化に向かうモバイルネットワーク基地局~

 最近O-RAN(Open RAN)関連のニュース記事をよく見かけます。

 このO-RANとはどのようなものなのでしょうか?

 移動体通信システムはコアネットワーク、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network(RAN))、ユーザ端末で構成されていますが、O-RANはこのうちの無線アクセスネットワーク(RAN)に関するものになります。

 LTEなどの4GではRANの構成としてC-RANが採用されています。C-RANとはCentralised RANの略で、基地局機能をベースバンド処理部等と無線部等の機能に切り分け、ベースバンド処理部等を集約設置し、無線部等を分散設置し、その間を光ファイバー回線などのフロントホールを介して接続する構成です。

 ところが現状のフロントホールのインターフェース仕様に関する標準規定が不十分のため、各基地局ベンダーが独自に規定した仕様に基づいて設計を行っているので、異なるベンダー間の接続は難しく、すべての設備を単一のベンダーのものでそろえる必要ありました。

 しかしながら今後の5GやBeyond 5Gを見据え、マルチベンダ接続を実現し、柔軟にRANの構築を行っていきたい携帯電話オペレータが主導し、複数の無線基地局のベンダーの機器を使用して柔軟にRANを運用できるようにするオープン仕様のネットワークが構想され、いくつかのアライアンス団体が設立されています。

 それらのアライアンス団体の一つがO-RAN Allianceです。メンバーにはAT&T、China Mobile、 NTT Docomo、Orange、Telekommなどの携帯電話オペレータの他、多くの基地局ベンダー・半導体メーカが含まれています。

 無線アクセスネットワークに用いられる主要設備である無線基地局は、ファーウェイ、エリクソン、ノキアといった大手ベンダーによる寡占が状態となっていますが、今後はオープン化によりエコシステムの再編が進む可能性が高まると思われます。

 また、AIや深層学習や用いたインテリジェント化やソフトウェアと汎用ハードウェアを用いたネットワーク仮想化(ヴァーチャル化)も進むと考えられており、今後注目が必要です。