5Gスマホのチップセット

 日本ではまだ開始されていない商用5G(第5世代移動体通信システム)サービスですが、お隣の韓国やアメリカでは今年の4月に開始され、中国でもこの11月にサービスが始まっており、複数の端末メーカから5G対応のスマートフォンがすでに販売されています。

 今回は今年になって販売された5G対応の主なスマートフォンで使用されているチップセットを紹介したいと思います。

Samsung Galaxy S10 5G

 まず先陣を切って世界初の5Gスマホとして今年の4月に韓国で発売されたのがSamsung Electronicsの Galaxy S10 5Gです。 Galaxy S10 5G には販売国に応じた複数のモデルがあり、大きくSamsungの内製チップセットを使用したモデルとQualcommのチップセットを使用したモデルの2種類に分けられます。

 Samsungの内製チップセットはExynos 9 Octa 9820とShannon5100で構成され、 韓国国内向けモデルに使用されています。Exynos 9 Octa 9820はアプリケーション処理とLTEベースバンド処理を行う統合プロセッサで、これに5G専用のベースバンド処理を行うShannon5100が組み合わされた構成となっています。

 一方、QualcommのチップセットもSnapdragon 855と Snapdragon X50Mの2チップ構成となっています。米国向けモデルではこちらのチップセットが使用されています。 Snapdragon 855が アプリケーション処理とベースバンド処理を行い、X50Mが5G専用のベースバンド処理を行います。

Huawei Mate 20X 5G

次は中国Huawe社のMate 20X 5Gです。こちらは2019年8月から中国国内で販売が開始されています。

 チップセットはHuaweiの子会社で半導体開発を担うHisilicon製です。アプリケーション処理とLTEベースバンド処理はHisiliconのKirin980が、5G用ベースバンドプロセッサは同じくHisiliconのBalong5000が担う2チップ構成です。

Huawei Mate 30 5G

 同じく中国ファーウェイ社のMate 30 5Gです。この11月1日より中国内で出荷が始まっています。

 このスマートフォンではついに5Gのベースバンド処理機能も1チップに統合されたKirin990 5Gが使用されています。

Motorola Moto Z3 5G

 最後はMotorola社のMoto Z3 5Gです。これはこれまでの3つとは異なり、単独での5Gスマホではなく、Motorola社の既存のスマホであるMoto Z3に追加で装着することで5Gに対応させるための拡張モジュールとなります。

 チップセットとしては Snapdragon 855と Snapdragon X50Mが採用されています。