中国半導体メモリYMTC が米国マイクロンを特許侵害で提訴

 

 2023年11月9日、中国半導体メモリ大手の長江存儲科技(YMTC)は、米国の同じく半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン)とその傘下企業に対して、米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に半導体メモリ技術に関する特許権侵害訴訟を提起しました。

 YTMCがマイクロンによって侵害されていると主張している8件の特許番号は以下の通り。

US10,950,623US11,501,822US10,658,378US10,937,806US10,861,872US11,468,957US11,600,342US10,868,031

YMTCは中国の半導体企業グループである清華紫光集団によって2016年に設立されたフラッシュメモリチップをの半導体メーカになります。フラッシュメモリメーカーとしては最後発ながら、2019年9月に64層・256Gb・TLCの3次元NANDフラッシュメモリの量産開始し、2020年3月には製品が市場にでていることが確認されています。その後、2022年末には他社に先駆けていち早く232層の3次元NANDフラッシュを製品化したことが話題となっていました。特に「Xtacking」アーキテクチャと呼ばれるウェハ貼り合わせ技術に強みを持っていると言われています。

 今回YMTCがマイクロンに対して訴訟を提起した狙いはどこにあるのでしょうか?背景にあるのは米中の先端半導体分野における対立とも言われています。2022年に米国は対中半導体規制によりYMTCを事実上の禁輸リストに追加したのに対して、2023年に中国はその対抗措置として重要情報インフラに関するマイクロン製品の調達を禁じる措置をとっています。そのような状況の中で起きた今回の訴訟ですがYTMCの狙いは明確には見えません。この訴訟に勝訴したとしても課されている規制が緩和や撤廃されるものではないと思われるためです。今後の動向を注視したいと思います。